歯を失う原因として最も多い歯周病
歯周病とは、歯を支えている歯肉(歯茎)や歯槽骨に起きる病気で、以前は、「歯槽膿漏(しそうのうろう)」と呼ばれていました。むし歯と違って痛みはありませんが、進行すると歯茎が腫れる、口臭がひどくなる、歯がぐらつく、などの症状が現われ、やがて歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病の原因について
歯周病の原因は、むし歯の原因と同じくプラーク(歯垢)の中の細菌です。歯の清掃を怠っていると歯茎の周りにプラークがたまり、その中の細菌(歯周病原菌)によって歯肉が炎症を起こして腫れ、歯肉炎になります。歯肉炎が改善されず周りの組織(歯根膜)や骨(歯槽骨)を破壊すると歯周炎になります。歯周病原菌は歯肉炎だけでなく心臓病や動脈硬化との関わりも推測されています。
歯周病が進行すると歯茎の腫れがひどくなり、歯と歯茎の間に歯周ポケットと呼ばれる隙間ができます。また、炎症が歯槽骨や歯根膜まで及び、歯茎から膿が出たり、歯茎がやせて下がってきたり、歯がぐらついてきたりします。歯周病がさらに悪化すると、歯槽骨が溶けて歯のぐらつきがひどくなり、食べ物を噛むことができなくなって、最後には歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病と全身の健康との関係
糖尿病
糖尿病を患ってる方の歯周病の発症率は、健常者の2.4倍といわれ、血中の最終糖化物質が全身の感染症を悪化させます。
喫煙
喫煙者の歯周病の進行度合いは、健常者の2~7倍といわれ、喫煙者の歯周病菌の保有率は健常者の2~3倍です。
骨粗鬆症
閉経による女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減少すると、骨密度が低下し、骨粗鬆症のリスクが高まり、歯周病も悪化します。
その他
特定の栄養素の欠如、成人病薬の服用、免疫不全または異常、精神的ストレス、肥満、心疾患、アルツハイマーなどとの関連が報告されています。
予防歯科について
むし歯予防、歯周病予防の重要性がテレビCMなどのおかげでかなり浸透してきましたが、「歯医者は痛くなってから行くもの」とか「むし歯になったら治療すればいい」とか思われている人はまだまだたくさんいらっしゃいます。
予防歯科は、歯が悪くなる前にプラークコントロールを行い、未然に防ぐことを言います。皆さんの毎日の歯磨きが正しいかをチェックし、磨けてないところや磨きにくいところをクリーニングしています。プラークが固まって歯石になったものも除去します。1年に2回程度は歯医者さんへ定期健診に行って、むし歯と歯周病のチェック、クリーニング、歯石取りに行くことをおすすめします。